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マイコプラズマ肺炎とは〜原因と諸症状

マイコプラズマ肺炎とは、多くの人の咽喉に生息しているマイコプラズマという病原体によって起こる肺炎のことです。
マイコプラズマは細菌に分類されますが細胞壁を持っておらず、増殖に生きた細胞を必要としないためウイルスでもありません。
感染力が弱く、発病率も低いため健康な人の場合は発病しません。

しかし、体力が低下している時や、咳をしている人の近くにいてマイコプラズマを一度にたくさん吸い込むと発病します。
10代から30代までの若い人が感染することが多く、発病してもほとんどの場合軽症ですみます。
約40%の人が1歳までに、約65%の人が5歳までに感染するといわれており、大人(成人)になるまでには約97%がマイコプラズマに感染しています。

潜伏期間は1週間から3週間程度で、秋から冬にかけて流行することが多く、一度流行するとどんどん広がり、6−7ヶ月間程度蔓延します。
以前は4年ごとのオリンピックの時期に流行したため「オリンピック病」とも呼ばれていましたが、最近は毎年のように流行しています。
2011年には、皇太子ご夫妻の長女愛子さまがマイコプラズマ肺炎と診断されました。

マイコプラズマ肺炎の一般的な症状はせき、発熱、頭痛、倦怠感で、普通の風邪と見分けがつかず診断や治療・入院が遅れるケースが多くみられます。
普通のかぜとの違いは、せきに痰がからまず長く続き、胸や背中の筋肉が痛くなることがあるという点と、38度以上の高熱を伴うという点です。
一般的な肺炎と異なるため、「非定型肺炎」「異型肺炎」などと呼ばれることもあります。

マイコプラズマ肺炎の見分け方〜風邪や他の肺炎との違い・検査方法

マイコプラズマ肺炎はかぜと見分けがつかない場合が多くありますが、次のような症状がみられたらマイコプラズマ肺炎の疑いがあるため早めに受診することをおすすめします。

  • 基礎疾患がない、もしくはあっても軽い
  •  鼻水やのどの痛みなどがない
  • たんの出ないかわいた咳が続く(特に早朝と就寝前に頑固な咳が続く)
  • 37-39度程度の熱が続く
  • 60歳以下である
  • 全身倦怠感

マイコプラズマ肺炎の場合、聴診しても肺炎を疑う雑音を発しないため、肺炎であるかどうかを診断するには胸部X線撮影の必要がありますが、X線だけではマイコプラズマ感染による肺炎かどうかを判断することはできません。
CT検査の場合は気管支壁が厚くなり、斑状の影が散在しているのがみられるため、他の肺炎との識別が可能です。

マイコプラズマ肺炎であるかどうかを確定するには血清のマイコプラズマ抗体値を測定する必要があります。
検査にかかる時間は30分程度ですが、検査キットを置いていない医療機関の場合は外部に委託しなければならないため結果が出るまでに1週間以上かかります。
この他、痰を培養する方法、遺伝子を増やして診断する方法、蛍光抗体法による抗原検出法、発病早期に上昇するIgMという抗体を検出する方法などがあります。
最も早く結果を得られるのは遺伝子を増やす方法ですが、検査ができる施設は限られています。

もし、激しい頭痛や嘔吐などの症状が現れたら髄膜炎を併発しているおそれがあるので一刻も早く医師の診察を受けましょう。

子どものマイコプラズマ肺炎〜流行と感染・出席停止など

マイコプラズマ肺炎は飛まつ感染しますが、感染力や発病率が弱いため一般の人ごみの中で感染する確率は非常に低いといってよいでしょう。
しかし、家庭内など、感染者と濃密に接触している場合は感染の確率は大きくなります。

マイコプラズマ肺炎は学校などの集団で感染することが多く、一度流行すると次々に感染し、小流行となる場合がほとんどです。
学校伝染病は、近年の医学の進歩とともに減少する傾向にあり、ウイルス性疾患をはじめとする伝染病も時代とともに変化しており、マイコプラズマ肺炎は学校保健法の中において予防すべき伝染病には挙げられておらず、児童・生徒の間で流行した場合は蔓延を食い止めるため、必要があれば学校長が学校医と相談した上で第三種学校伝染病(幼時や児童・生徒の集団生活への伝染・伝播を警戒すべき伝染病)としての措置をとることが可能で、条件によっては出席停止がみとめられ、学級閉鎖となることもあります。

出席停止後の登校については、急性期が過ぎて症状が改善してからとなり、流行阻止という目的よりも児童・生徒の状態によって登校するかどうかを判断すべきであると考えられています。
実際に出席停止になるかどうかは学校によって判断が違うので、問い合わせてみる必要があります。

小児科によってまとめられた「出席停止期間のガイドライン」には、マイコプラズマ肺炎の場合は「適切な抗生剤治療を開始して3日が経過し、症状が改善するまで」とあります。

マイコプラズマ肺炎の治療法〜対処法と処方される薬

マイコプラズマによる肺炎は肺炎菌によるものに比べて症状が軽く、熱に弱いという特徴があるため感染した時の発熱でいずれ死滅します。
そのため、若い人や体力のある人が感染した場合は解熱剤などを処方せず、高熱のまま1週間程度様子をみます。
咳がつらいときは親指を片手ずつ握ってあたためたり、部屋の換気をこまめに行うようにします。

咳が強い場合は鎮咳薬や去痰薬を用いた対症療法をほどこし、発熱などで脱水症状がみられる場合は水分補給を行います。

マイコプラズマは細胞とは異なり、細胞壁をもたないため一般的な細菌感染に対して処方される薬は効きません。
多くの場合は軽症ですみますが、高熱で脱水症状を起こしたり眠れないくらいの激しい咳を伴っているような場合は入院する必要があります。
その他の場合はマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗菌薬を内服し、症状が重い場合はミノマイシンやダラシンなどを点滴で投与します。

マイコプラズマ肺炎は予後良好の疾患で、治療を行えば2週間ほどで呼吸器症状は改善し、胸部X線上の所見は4週間ほどで改善します。
体力のある人の場合は自然治癒することもあります。
症状が治まった後もマイコプラズマは1ヶ月ほど体内にとどまります。

マイコプラズマ肺炎は飛まつ感染するので、流行している時期には人ごみを避け、外から帰ったら手洗い・うがいをするようにしましょう。
感染した疑いがあるときは早い段階でエリスロマイシンなどの抗菌薬を服用すると肺への感染が抑えられます。
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